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相手のロジックに乗る

相手に自分の考えを伝える際の秘訣として、
以前紹介した「左脳2→8の法則」と好対照のものがある。

「出口の2割は右脳」とした前掲の法則の通り、
コミュニケーションプロセスにおける主役はあくまで右脳だと思われるが、
右脳は短期的に鍛えられるものでないため、左脳から幾分かでも助けが得られるなら、
という位置づけで心に留めているものだ。

それは私が以前上司にもらったアドバイスで、
「相手のロジックに乗る」というもの。

以前述べたとおり、人は意思決定の際、
主に右脳の“want”と左脳の“should”で判断している。
そして、このうち左脳部分について例えるなら、
「前提条件a」と「現在の状況s」を入力変数に、
各個人固有の「関数F(a,s)」を通じて解Sが出されている。

人を説得する際、まず
「結論Sは10でなくて、12である」
と叫ぶ前に、相手のロジックF(a,s)の構造を推し量り、
前提aや状況sを変えることで
自分が説得したい方向(S=12)に相手を導くことができないか、
考えてみる。

相手の頭の中で、3×2+4=10が行われているとすれば、
相手の「問題用紙」の3の部分をこっそり4に変えてしまうだけで良い。

例えば、あなたの上司の大友部長があなたに
「もっとDMをうたなければA商品の売上は伸びない」
と言ってきたとき、実は、
「大友部長は、その上司の島津本部長に怒られることだけがいや」
「島津本部長が数日前、大友部長にDMの効果が高いことをアドバイスした」
というだけのことかもしれない。

その場合、あなたの出した案がビジネスプランとしていくら正しかったとしても、
「いえ、部長。DMの認知単価は○○円とチラシよりも高く非効率です」
と言って説得しても受け入れられない。

代わりに、昔の本部長の発言を思い出し、
「すみません…。本部長が以前、
『商品特性に合った広告をうつように』とおっしゃったので、つい…」
と言ったとしたら、部長の考えは変わるかもしれない。

人は誰でも他人から考えを押し付けられるのは嫌いである。
考えを変えることを迫る前に、なぜその人がそういう結論に至ったのかを考え、
相手の「考え方」はそのままに、前提や状況を変えて相手を導くことができれば、
お互いこんな嫌な気分になることはない。

学生の時分、塾講師のアルバイトをしていて、最も気をつけたことの1つは、
「生徒が自分の手で答えを出したと思えること」であった。

塾に限らず、人を説得して動いてもらう場合、
無理やり自分の考えを押し付けると、それがいくら正しくても、
折角の考えを実行してもらえず、「絵に描いた餅」になる。

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赤信号、みんなで渡れば怖くないか?

今日、実家に住んでいた頃の地元の先輩に、面白い話を聞いた。

◆  ◆  ◆

タイタニックのように沈んでいる船があって、外は冷たい海。
避難誘導をする乗組員が乗客に、海へ飛び込むよう促します。

アメリカ人の乗客がいました。
「今、飛び込めば、あなたはヒーローになれますよ」
アメリカ人の乗客は意を決して海に飛び込みました。

続いて、イタリア人の乗客には、
「今、飛び込めば、女性にもてますよ」
イタリア人の乗客も飛び込みました。

最後に残った日本人の乗客には、
「みんなもう飛び込みましたよ」
日本人の乗客も飛び込みました。

◆◆◆

―という話。
日本人はみんなで同じことをしていないと不安だ、
ということを表した、何とも悲しい話である。

「カイゼン」という言葉に代表されるように、
日本人は昔からオペレーショナルな改善が得意であった。
近年では、戦略の重要性も徐々に認識されてきているが、
それでも、顕在化した市場での「競争戦略」にとどまっていて、
「ブルーオーシャン戦略」の言葉を借りれば、
競争の激しいレッドオーシャンで生き残る術を考えているだけで
新たに市場を創造する力とは言えないのが実情である。

ブルーオーシャンを発見する方法は、また別の機会に考えるとして、
まずは、「他人と同じことをして安心していないか?」ということを、
常に自分に問いかけていたい。

他人の真似をすることは、「何も決めない」ことの次に最悪な決定である。

まず、みんなと同じことをするということは、
自分が死んでも、代わりがいくらでもいるということである。
少なくとも自分は、「生きてる意味があるか」と問われて返事に窮したくない。

また、それにも増して酷いのは、真似をすることで思考停止になっていることである。
物事を決めた際、「何でそうしたのか」のロジックがなく、
「みんなそうしてたから」というのは、責任能力がないに近いほか、
PDCAがまわらず、折角の成功や失敗から学習することがない。

確かに、皆と同じことをしていれば、失敗するときはみんな同じであるから、
時代や環境の変化など、外的要因のせいにできるかもしれない。
しかし、それで気が休まったとしても、失敗は失敗である。

企業がバリュープロポジションを追求するように、
「自分らしさ」に従って何ができるかを考えたい。

朝の通勤時、車どおりの少ない交差点で赤信号を渡ると、
パラパラと後ろから渡りだす人が出て、やがて皆、なし崩し的に渡りだす。
どうしてそれまで信号を待っていたのだろう?と不思議だ。

しかし、そんな自分も今日は、
車がたくさん停めてある道路に堂々路駐したところ、
帰ってきたら「駐車禁止」のステッカーが貼ってあった。

緑の人、ご親切にどうも。
高い授業料ですね。

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2点なければ線は引けない

コンサルタントとして日々アウトプット志向で仕事をしながら、
インプットを最大化せよという言葉を紹介したことは、
やや奇怪に思われるかもしれない。

確かに、限られた時間の中で解を出すためには、
最終的に想定されるアウトプットをイメージしながら、
直接的に関連するインプットだけを収集することが最も効率的な働き方である。

しかし、私の悪い癖でもあり、若手コンサルタントが陥りがちな悪い癖だと思うが、
多くの物事は01(ゼロイチ)ではない。
仮説段階では、01はわかりやすいし、人にも伝えやすい。
しかし、仮説の検証段階や、現実解を導く段階では、
デジ→アナの復号とも呼ぶべき変換作業が必要になる。

「2つの全く対立する考え方を持っておく」ことは一見矛盾しているようだが、
そうしたデジ→アナ変換を可能にするための考え方として有効である。
0または1のどちらかにしか考えが及ばない場合、
解はいつまでも0または1にしかなり得ないが、
両方を持っていればその配分を変えることで、0.2や0.8を考えることが可能である。

抽象的な話になってしまったが、
ヘーゲルの弁証法のような上記の考え方は、
商品開発やマーケティングの分野では、
ビジネスの現場で実際に使われることもあるようである。

GEヘルスケアのGMは「プロダクトマネジャーの教科書」(翔泳社)の中で、
『以前の上司から、「ひとつの線から真っ直ぐな線は引けない」
というアドバイスをもらった』と言っているし、

キリンビバのマーケターの方は「プロダクト・イノベーション」(晃洋書房)の中で、
「ストライクゾーンを見つけるのに、1つじゃ点だから分からない」と言っており、
また同書籍の中で、実際に2つの対立する商品コンセプトから
新商品を生み出す事例が紹介されている。

上記のようなデジ→アナ変換は、
打ち手を現実にフィットさせる際、
「バランス感」の一助になるものとして大切にしたい。

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インプットは最大化し、アウトプットは絞る

右脳を鍛えるのは難しい。そして、すぐには鍛えられない。
植物に毎日水をあげて、少しずつ育てていく感覚に近い。
右脳は感情を司る部分だから、色々な感情が湧き出るよう、
外部から色々な刺激を与えてやる必要がある。

よく問題に感じるのは、私のような仕事についていると、
アウトプット志向が身に染みすぎて、
直近出さなければならないアウトプットに関係ない情報に対しては
目をつぶってしまう。

求められるアウトプットに偏りがあれば、当然インプットも偏る。
インプットが偏ると、右脳は育たない。
プリズムを通して日光を当てられ続けた植物は枯れ、
感情の花は咲かなくなる。

ある平面の座標軸上で連続的な成長を遂げるが、
それに別の軸が加わった時、
その成長曲線が面上に描かれていたことに気づく。

今の会社に入って間もない頃、
「若い頃は、インプットは最大化し、アウトプットは絞ったほうがよい」
と教わったことを思い出す。

アウトプットは目的に沿って、少し絞った位が、丁度いい。
あれもこれもと盛り込むと、大抵焦点がぼやけて全部が台無しになる。

インプットは逆に、目一杯広げたほうが良い。
その時余分に吸収したものが、右脳を鍛え、
左脳で獲得したもの同士を繋げてくれる。
意識して様々な刺激に触れるようにしたい。

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左脳2→8の法則

左脳と右脳の役割分担について、
先輩からこんな教えを受けた。

「(仮説構築からクライアントとのコミニュケーションに至る
一連のコンサルティングプロセスにおいて)
最初の立ち上がり(0から1を生む部分)は、
右脳の力によるところが大きい。
その先2から8までは、左脳の力で進めていくことができる。
最後、9から10の部分は、やっぱり右脳が鍵を握る」
というものである。

割合はともかく、入り口と出口の部分では、
確かに右脳のセンスを要すると大いに納得したもので、
左脳2→8の法則として、
忘れないうちにここに書きとめておくことにする。

初めの仮説出しの部分で右脳に頼ることについては、
あまり異を唱える人はいないと思う。
左脳はありものを組み立てることはできるが、
その材料は基本的に与えられることが前提であるし、
ゼロベースで仮説だしをするといっても、
嗅覚なく隅々まで探っていては、時間の無駄である。

むしろ面白いのは、出口の2割の部分で、
ここは、左脳により論理的に正しいことが検証された解を
「いかに伝えるか」を考え、また実際に伝えるフェーズとなる。
その際、我々コンサルタントは自己満足で解を出している
わけではないので、クライアントに「動いてもらえる」ことが
伝える目的であることは言うまでもない。

聞き手の立場・性格・感情を考え、心に入り込むストーリーをつくることは、
理性を司る左脳よりも、感情を司る右脳の得意とするところである。

世の中一般の仕事に比べて左脳のロジックが重視されるコンサルティングにおいて、
左脳が必要条件でしかないことを改めて認識できる。

また、職業病からか、普段の生活においてもついつい理屈で相手の心に
無駄な壁をつくってしまうことがある筆者にとっては、重要な「教え」であり、
いつも心に留めておこうと思う。

ロジックに頼りすぎな人に有効。

最後は目を閉じて脳のスイッチを切り替えたい。

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